PAXWest 2019 開発パネル
PAXWest2019開発パネル
- PAX West にファイナルファンタジーXIVが出展します! | FINAL FANTASY XIV, The Lodestone
- リードアーティスト鈴木健夫氏とメインシナリオライター石川夏子氏の開発パネル
- 放送URL:https://www.twitch.tv/finalfantasyxiv
- 公式録画URL:https://www.twitch.tv/videos/475548847?t=00h14m39s
- ※こちらで文字起こししていますが、できれば時間のある時に公式録画をぜひ御覧ください。会場の盛り上がった雰囲気が体感できると思います。
自己紹介
- 鈴木健夫氏:
- 石川夏子氏:漆黒ではメインシナリオ全編&暗黒騎士Lv80ジョブクエスト。アマロの鳴き声からエメトセルクのセリフまでひたすら書いておりました。すごい物量だったので、フェイスシステムなどは織田氏に手伝って頂いた。さらに新フィールドのコンセプト作成、BGMの発注と曲の割当。
- 会場スタンディングオベーション。
「漆黒のヴィランズ」開発パネル
- 「漆黒のヴィランズ」着手
- ※このブロックから初回の原案までは、石川氏の発言。
- 話を考える
- ポイント整理
- 1.数年に渡り、定期的に積み重ねてきた物語と世界観。そして地道に蓄えられてきたリソース。
- 2.ゲーム内外におけるコミュニティの成熟
- 3.プレイヤーキャラへの愛。主人公が映えるドラマにする。思わずSSを撮りたくなるくらいの。
- ちなみに多くの人がスクショを撮ったのではないかと思うポイントです。私も撮りました。
- メンテナンスコストもかかるので慎重な検討が必要だが、それでも紅蓮の1.3倍のプレイヤーキャラ用モーションが作成された。
- ということで、奇をてらわないでJRPGの世界で描いた。スーファミなどのJRPG文化で育ってきたので、自分が一番好きで得意なジャンルでぶつかろうという思い。第一世界は狭かったので、JRPGっぽい世界を作りやすかった。
- 初回の原案
- 新フィールドの制作
- ※ここから鈴木氏も発言。
- 鈴木:発売前に語れなかったあのフィールドについて。それはテンペストですね。6つ目の、一番最後に行くことになるフィールドです。そもそもここは石川さんはどういう意図で発注してた?
- 石川:(会場にアーモロートの曲流れる)どうしてもこれをかけたかったの。テンペストは最終決戦の地となる。基本的に原初世界での決戦は味方が多いので大人数で派手になりがち。今回はできるだけ少ない人数で身も心も冷たい場所に沈んでいくような体験にしたかった。コンセプト出し。
- 鈴木:アイデアをまとめていくところからスタートする。アートワークを次々と書いていってもらう。
- 一番最初に、泡に包まれた海底フィールドをどのように表現するかで悩んだ。絵にあるような泡エフェクトを天球につけたらどうか?紅玉海の水中ドームで包むようにしたらどうか?など。最終的には地面の上に薄いコースティックスを乗せることでどうかということで開発が進んだ(水中で光が届いた時に反射したり屈折してゆらゆらするような独特の模様のこと)。4.0の紅玉海で、水中の環境プログラムで表現するように作っていたので、それが5.0でも使えた。しかし水中(にある空気の泡の中)にさらに水(たまり)がある状態を想定をしていなかったので、さらに水たまりがあるようなものでも対応できるようプログラマに拡張をしてもらった。それ以外に、”泡”が出来上がった直後を表現するために床をぬるっとした感触にしたり、テンペスト到着直後には水が滴り落ちているような表現を加えていった。
- 鈴木:そうした構成や技術的な検証をしながら、続いてフィールド全体の白地図を作成。
- 上がオンド族の集落で下がアーモロートで今の状態とそれほど変わっていない。ただ「深い海溝を下っていった先にアーモロートがある」という状況を作るのに苦心した。最初は(かなり深い)崖の真下にあるというものを作りたかったが、エウレカのパゴス編あたりを作っている時に1600m以上の高低差があると、ナビメッシュの判定ができないなどのプログラム上の問題が出るため、あまり高低差が出せないという結論が出ていた。最終的にはこんな(現在の高低差)感じになった。だがこうすることで別の問題が出てきた。テンペストに降り立つと、その時点でアーモロートが見えちゃってる状況。これには石川さんたち企画側からも、洞窟を抜けたら初めて見えるようにして欲しいという要求が何度も出てきて、最終的にはフォグやエフェクトをかけたりして隠すようにした。
- 石川:確かに。しつこく言いました。
- 鈴木:なので、最終的にはこんな感じで。洞窟を抜けたあとのカットシーンを頑張ってたことで、ものすごく印象的になったんじゃないかと思っている。
- 鈴木:もう一点製作途中にガラッと変えたこと。中盤までは深い海溝を潜っていくというイメージだけはなんとか出せないかということで、前半明るく、後半暗く変化するようにしていたが、制作終盤になって、今の絵作り(前半暗く、後半明るく)になった。というのは、ゲーム体験的にはテンペストに降り立つまでは、ずっと長い間光天候で冒険してきたのと、アーモロート側はもっと幻想的な印象に持っていってほしいという要望から、今の作りになった。アーモロートの建物も窓が明るいが、実はその時の名残りだったりする。
- 鈴木:アーモロートといえば、大都市で巨大な古代人が住んでいるという状況を作るのが背景班の大きなチャレンジだったが、そこが作っていく上で面白かった。ちなみにアーモロートを制作していた頃にPS4のスパイダーマンが発売されたので、それにすごく刺激を受けたとここを開発していた担当がいっていた。
- 石川:それで、CMが… ※例の1千万回再生のハリウッド俳優出演CM https://www.youtube.com/watch?v=Aqju18pcq6U
- 鈴木:そんなことはないと思うけど(笑
- 鈴木:古代人の配置までが済んだところ。古代人の大きさに合わせて建物の大きさや通路の広さなどを細かく調整していった。事務カウンターが大きかったり。
- 石川:(ヒュトロダエウスと話すシーンのベンチのサイズ感は)わたしがすごくやりたかった点。古代人はふつうの椅子だが、プレイヤーにとっては塀ぐらいあるので、上にちょこんと座るしかないという状況を作りたかった。
- 鈴木:細かく話すときりがないが、こういった1つ1つにこだわって町並みを作っていった。
- 石川:ある程度固まってきたところで、続いて設定班に地名やスポット名をつけていってもらう。「アーモロート」という名前を提案されたときは、そうきたかとニヤニヤしながら嬉しい気持ちでセリフなどを修正していったのを覚えている。さっきのサウンドもそうだが、アイデアの応酬でゲームができていく感じがわたしは好きです。
- 石川:その他イベント専用マップや、様々な小物なども発注していく。ミンフィリアとリーンのシーンの背景マップは、イベント専用の特注マップ。光とか色味にものすごくこだわりたかったので制作班にいろいろ相談した。
- 鈴木:フェオちゃん。数あるキャラが発注されたが、その中でも細かく調整した一体がフェオ=ウル。実は作っていく順番的には(一般の)ピクシー族を作ってからフェオになっていたので、ピクシーと同じ骨(モデルのボーン)を使わなければいけない。そこからかわいい表情や髪の毛をきれいに揺らしたりなど細かい調整をしていった。14ではカットシーンで専用のライティングなどの調整は行わないが、フェオについては終盤まで調整を加えた。
- 石川:右は太っているミコッテの検証中の絵。この服を着ているとララフェルだってバレバレですね。ララフェルは何にだってなれる(笑
- 鈴木:ちょうど太ったミコッテの子供を作れないかと検証していたもの。こういうのやれそうだけどどうかなと石川さんに見せていたときの画像。
- 石川:見せてもらった時にあまりにもインパクトがあったので、ぜひ(音声途切れ)吉田Pに??
- 鈴木:このあたりはまた機会があったらゆっくりお話したい。
- 石川:すごく熱意を持って作られた誰かの耳の話とか。
- カットシーンを作っていこう
- 石川:14ではカットシーンに特化したゲームではないため、カットシーン制作にはめちゃくちゃ制限がある。その中でアップデートを繰り返しながら少しづつできることを増やしていった。5.0で行った工夫の中から2つの事例を紹介。
- 1.「ボタン待たない」を増やせ。
- 14のカットシーンではほとんどのセリフがボタン入力(自動送り)で次に進む作りが多い。カットシーン制作においてこれはものすごく大きな制約です。何秒間表示されているかがわからないので、セリフや武器を構えるなどアクションの調整がしづらい。一方で、入力を待つことで言語ごとにセリフを自由にできるメリットもある。これは14が多言語かつ短いアップデートをしていく上ですごく大事なこと。基本的には待つが、その他では待たない作りを多めに取り入れることや音楽やアクションに合わせることで入力待ちを減らしている。正直すごくコストは掛かるが演出が豊かになるのですごく頑張って取り入れた。
- たとえばOPのおじさん(ブレモンダ)は全部待たない作り(自動送り)なので、おじさんの動きが豊かになっている。全部自動送りなのは、こことエンディングのみ。なのでエンディングの台本も制作のかなり前段階でかきあげた。大変だが、今後も大事なところではこういう工夫を増やしていきたいと思っている。
- 鈴木:もう一つはカットシーンでの工夫。(テスリーンの)罪喰い化のシーン。
- 2.罪喰い化での創意工夫
- 石川:物語の大事な部分なので描きたかったが、ああいうものは各リージョン(現実世界の地域別)で細かな決まり(規定)がある。※映像表現上のNG(エロ・グロ・酒タバコ賭博などがどの程度許されるか)など。
- 鈴木:それらをクリアしつつ伝えたいことを描くというものを模索しながら今のものが出来上がった。具体的な手法のひとつが頭皮や目から出た体液が顔を覆うシーン。実はこことは別のシーンで頬を伝って涙が流れるシーンをやりたいなと現場で話していた。それの応用でこのシーンも行けるんじゃないかと進んでいった。体液が固まったお面モデルを作っておき、それを顔の内側に仕込んで表現してみた。徐々に押し出すことで漏れ出るという表現ができないかと考えた。小道具で説明。
- 石川:でも紹介しちゃうと二度と使えなくなってしまう。だって涙が流れるとお面モデルだと思ってしまう。
- 鈴木:じゃあこれは思い出さないようにしてもらって(笑
- 鈴木:こうしたものを全カットシーン、全フィールドに対して行っていく。
- 石川:今回はやりたいことの共有はうまいこといったが、やることが膨大でみんなジャイアントビーバーみたいな顔をしていた。そうした中で、吉田Pの第1回目のテストプレイを受けるタイミングがくる。「吉田:もう…最後の方、ずっと泣いてた……」 やったー! 「それはそれとして、調整点も出しとくね」
- 鈴木:最後の調整はすごく大変だったよね。制作の順番でいうと、この日がデッドロック(絶対にいじれない日)と言う日がある。その最後の日までプレイヤーが光で悶える場面のフェイシャルを調整したり、そこまでやっていた。それを、キャラアーティスト、モデル、企画、プログラマー…みんな最後まで調整してくれたおかげで過去最高のゲーム体験を作れたと思っています。そうやって頑張って作ったものをプレイヤーのみなさんが楽しんでもらえた声を聞いて、報われた。
- 石川:シャドウブリンガーズの旅、楽しかったですか?(会場拍手)
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