吉田Pインタビュー(GAME Watch:前編)
- http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/20131212_627101.html
- 第10回プロデューサーレターの後の収録ということで、1週間ほど前に掲載された一連のインタビューと同時期収録の模様。例により、前後編に分かれている。
今後のフォーラム運営とPレターライブ
――そうですね。オンラインゲームは、本当に酷い状態になるとユーザーは無言で去って行くものですからね。
吉田氏:これはちょっと余談になりますが、第10回のレターLIVEをやる前に、僕がフォーラムに4つポストした時、閲覧数の数値を取っていたのですが、「旧FFXIV」の頃と比較しても、数字が割に合わないというか、少し方針を固め直した方が良いかなと思っています。――割にあわないとは?
吉田氏:「新生FFXIV」からプレイを始めて頂いた多くのプレーヤーは、「今の」フォーラムにあまり興味を持っていただけてないのかなと。だから見に行かない。これは傾向として「旧FFXIV」とも違いますし、フォーラムの属性の変化が、閲覧数という数字の結果が現われているかも? と考えていて。――なるほど。現在もレターLIVEのまとめも、全部フォーラムにポストしているじゃないですか。にも関わらずユーザーさんはあまり来ない?
吉田氏:うーん、そうですね、契約いただいている総数から考えると、あまり来てはいただけてないですね。ツイッターも変化が出てきていて、最近は生放送中のライブも質問があまり来なくなりました。放送中のリアルタイムに視聴し、感想をツイートして楽しんで下さるのがメインです。感想を言って貰えているのは、放送をする上でとてもありがたいですし、単純に「スゲー楽しみ!」などのツイートは励みになるので、それ自体はとても嬉しいことです。――意外ですね。フォーラムは質問の投稿がどっさりあって、むしろ活況だなと思ったぐらいなのですが。逆にツイッターからの質問は少ないわけですね。
吉田氏:ここも「旧FFXIV」から変わった部分ですね。当時は「フォーラムもFFXIVのメインコンテンツ!」と言われたくらいでしたしね(笑)。――今後フォーラムはどのような流れに?
吉田氏:ちょっと悩んでいるところです。僕はユーザーインターフェイス(UI)に関するディスカッションはすごく正常運転だと思っていて、単純な要望だけの時ももちろんあるのですが、逆に言うと、ある程度考えられる人しか発言しなくなってきている。あれは皆川(裕史氏、「FFXIV: 新生エオルゼア」リードUIアーティスト)が、できる事できない事を常に言っているからです。他の分野で僕のポストがあまりにも忙しくて減っているのは事実なので、もう少し増やすことへの議論を活性化すべきなのか……、それにしてはあまりにもカバーすべき領域が多すぎる。皆川みたいに、UIだけって絞れば可能だと思うのですが、あまりにも僕の発言が重くなってしまっているのも事実で、だからどうしたものかなと。
- どうも根本的な勘違いがあるように感じる。「旧FFXIV」で「フォーラムもFFXIVのメインコンテンツ!」と言われたのは、旧FF14がゲームとして成立している部分が少なかったからに他ならない。もちろん蛮神戦や極イフリート、紅月下などを楽しんでいたプレイヤーもいるが、それは極々一部のプレイヤーに過ぎない。しかもそれらのプレイヤーも「新生」への期待表からプレイを継続していただけの話しであって、もし新生が約束されないのならばプレイなどしていなかっただろう。だからこそ「フォーラムもFFXIVのメインコンテンツ!」だったのだ。
- それが、新生後はフォーラム運営については(Lastygalle氏を中心に)スクエニらしい平常運転に戻りつつあり、さらに少しでもネガティブと捉えられる表現をしようものならすぐにスレッド削除やフォーラム利用停止処分がくだされることが相次いだ。おまけに不具合を含む問題指摘は完全放置で、修正のめどが立ったものだけ「~については開発チームでも確認している不具合です。~で修正予定です。」の繰り返しばかりになっている。ユーザーの意見吸い上げが積極的に行われているとは思えず、最終決定をパッチノートで確認すればいいだけになってしまっている。これでは逐一フォーラムに見に行く必要もなければ、いいね!を押しに行く必要もなくなってしまう。現在はそういう状況なのではないだろうか。
- そもそも、フォーラム自体が一覧性に乏しく、なおかつ検索性も異常に低く、有用なスレッドもすぐに埋もれてしまい探すのもめんどくさい。これでは見に来るなと行ってるも同然だ。せめて、「確認されている不具合一覧」、「パッチでの修正予定リスト」の2点については、運営チームで随時とりまとめと情報更新を行うなどが必要ではないだろうか。※一応補足しておくが「不具合報告>受理済み」は網羅できていない。
吉(黒)魔道士について
――そうですよね。先日のLIVEだと、吉田さんの黒魔道士を一種擁護するような発言があったじゃないですか。黒魔道士以外のDPSを遊んでいるユーザーからすると、不満を覚えてしまうだろうなと思って見ていましたが、フォーラム等の反応を見ていると、予想通りの展開になっていました。インタビューの1番最初に聞きたかったのは、あれは何が言いたかったのかということなんですが。
吉田氏:えーと、基本的にはそのままなのです。――吉田さんは、黒はMPがなくなったら何もできず、MPを管理することが1つのリスクなので、それで全体としてバランスが取れていると。でも近接DPSや他のキャスターからすると、長期戦になるとTPがすぐ枯渇したり、MPがなくなって回復ができなくなったりするわけですが、それらを管理しようにも選択肢そのものが用意されていない。これは不公平ではないかということではないかと思うんです。
吉田氏:まず前提としてTPとMPだけ見ても、議論にはならないです。それぞれのジョブの役割、特性、HP総量、MP総量などなど、全部合わせてバランスですので。公平/不公平というクラスやジョブの比較論が過熱するのは、MMORPGの場合、通常運転だと思っているので、あの発言はそれ以上でもそれ以下でもないです。回答を考える際に多少悩みましたが、細かく言い過ぎても切りがないので、絞りに絞った結果、超シンプルな回答になりました。ちなみに、MPが無限に回せるといっても、しっかりDPSを出そうとすると、プレーヤースキルは必要になりますよね?
――そうですね。ただ、MP回しそのものは、難しいテクニックが必要な話ではなくて、慣れてくれば比較的誰にでもできることだと思うのですが。
吉田氏:本当にそうでしょうか? たとえば、真タイタン戦で、スライドや重みを避けながら、あと何秒でバフが切れるかを、家運としながらちゃんと繋げてるでしょうか。Procが発生しているのを無駄にせず、ギリギリまでMPを使い、しっかりLv3のバフで回して詠唱時間を短くすることで、ボスの攻撃を回避しつつ、DPSを下げずにMPを回すことは、誰でもできるというレベルではないと思います。使い込んでできるようになることと、簡単である、というのは意味が違います。――つまり、「強いと思うなら使えばいいじゃん?」と?
吉田氏:僕も人間ですし、同じ感情はあるわけですよ。上手い人が使う召喚士を見て「あれは強いぞ!?」って(笑)。自分が使っていないもので、強そうなものは、やっぱり全部羨ましくなります……。それは自分のクラスやジョブが好きだからこそ感じるもので、その点は、プレーヤーの皆さんも、僕自身もまったく同じです。今回、黒魔道士に関しては、色んな視点から複数のご質問をいただきました。中には単なるネタと、僕に対しての挑発も含まれてて(苦笑)。ですので、まとめてひとつだけピックアップしたのがMPのお話であって、僕の結論としては、「本気で黒が強い感じたら、せっかくなのでプレイしてみましょうよ!」というシンプルなものだっただけなのです。
それでも強いと思うなら、そのまま黒魔道士を続けたって良い。もちろん前述のように「竜騎士一筋だから!」という方は、僕も黒魔道士が好きですし、同じプレーヤーとしてとても尊敬できます。その場合は、黒魔道士について言うより、竜騎士の強さについて、ディスカッションしたり要望検討する方が建設的だと思っています。
AとBは同じジョブではない。Aの特徴をBに持ってきてしまっては意味がない。AとBはそれぞれの特徴を伸ばす方がいいですし、お互いを牽制し合ってしまい、お互いの強いポイントが弱体されてしまうのはもっと意味がない。ただし、AとBが同じロール内であり、そのロールのベーシックな部分で差が付いている場合、そこは調整の必要があります。
それがいまのナイトと戦士の差であったり、近接DPSと遠隔DPSのダメージ量の差などです。えすので、この点は「強いものを弱体する」ではなく「差が付いてしまっている方を強化する」ことで、バランスを取るという考え方をしています。
細かく言い始めたら本当にキリがないのです。黒魔道士にとってはMPを回すこと自体が制約になっています。黒魔道士はDPSを最大化している最中、ポーションやエーテル1本飲んだくらいでは、魔法唱えられないくらいに消費MPがデカいです。その緊急回避策にあるのがコンバートですが、リキャストタイムを長めに設定しています。スタンスの切り替えがある前提なので、1回ミスをするとリカバリーが大変です。
黒魔道士はファイガや、アストラルファイアIIIを詰んだ状態のファイアは、目も当てられないくらいMPを消費します。おおむね4回の詠唱で、もうスタンス切り替えを意識しなければならず、しかも切り替え用のブリザガの袁紹を先行させた際、直前のファイアがProcしたら……と、これ以上の言及は避けますが、かなり面倒で細かい制約が多い。これによってお伝えしたいのは「比較」ではなく、ジョブ内の「デザイン」の違いです、ということです。
「MPを回復できる」という前提があるからこそ、その行為に面倒だと思う側面や、ミスに繋がる要素が入っているというデザイン。バトルコンテンツ中のDPSと、待ちにある「かかし」を殴るDPSとは、まったく違います。「スタンスによって、上手くやればDPSを落とさずにMPを常に回復し続けられる」、というのは大きな特徴です。
そしてそれと引き替えに「サンダーを切らしてはならない」、「止まって詠唱しなければならない」、「詠唱を止めてはならない」、「MPを枯渇させてはならない」、「詠唱の間に時間ロスは許されない」……。ちょっとキャストが遅れたら、ロール役であるDPSとして、どんどんダメージが出なくなっていく。
DPSメーターをバランスチェックに使っている開発チーム内では、DPSが出ていないと煽られるので、本当にもうしんどいのです(笑)。これは黒魔道士はあくまで例であって、お伝えしたいのは、どのクラス/ジョブにもこういったリスクとリターンは存在しますということなのです。
――つまりどういう意味においてもLIVEでの発言は、もうまったくそのままの意味なんですね。でも、私自身がそうですが、ようやく真意がわかったって人は多いと思いますよ。
吉田氏:意味としてはそのままなのです。そして、やはりこれを40分以上に渡って、延々とお話しするのは、やはり番組としてのLIVEの方向性としては違うかなあと。もう1点、LIVEでも言ったのですが、ジョブとして現状とてもバランスが取れているのが黒魔道士です。ウォールとマジックバリアがあり、エーテリアルステップがある。あとはシンプルにひたすらDPSを出す。
ただ、アクションの数は全ジョブ一緒で、その結果、黒魔道士は「ボスモンスターに対して決定的な仕事」がない。自己防衛か、他人を防衛するか、高速移動するか、ダメージを出すか。スリプルはあるんですが、ボスには効かないですからね……。最終的には、とにかく高いDPSを維持できないと、おまえなんかいらないと言われるジョブです。その制約やプレッシャーと戦っていかなくてはいけないのが黒魔道士。ただ、攻守共にバランスが取れているのは、間違いなく事実です。
――なるほど。特に今はレベル50到達後は、いくつかのIDを周回するしか遊びがなくて、そこで吉田さんも以前推奨されていた範囲狩りで黒が大活躍しているから、そのイメージに引きずられて強い印象に繋がっているのかもしれないですね。
吉田氏:半フレアという詠唱速度のバグもあり、確かに今だと黒魔道士は有用だと思います。
広報担当:ヒーラー目線で言わせていただくと、あと黒がいいなといわれるのはたぶん、ヒーラーから見て黒がいると、ワンダラーパレスとかは、ヒーラーの仕事が1つ減るという部分ですね。
吉田氏:リポーズを入れる負担は減りますが、ワンダラーは睡眠無効の敵も多いですし、範囲スリプルよりも黒魔道士はダメージに集中して、寝せられる敵だけピンポイントに白魔道士が寝せる、という方が早い場合もあります。ただ、戦術や初見かどうかでも見方はかわるので、ケースバイケースですね。やはり戦術になりますが、4人で遊ぶコンテンツで、範囲焼きの効率だけを考えると、DPSというロール内で攻撃特性の有利不利は出てしまいます。それは事実です。ただ、その観点だけで強弱を語るのは、違うと思うのです。最後はもう、僕が黒魔道士使いと広言しているからな部分もあって、かといって他ジョブ使っても同じ事になりそうですし(苦笑)
- 読めば読むほどすれ違い感が出る。まるで召喚士やヒーラーが動きながら詠唱できるかの錯覚を覚えてしまう。
「ケアルを切らしてはならない」、「止まって詠唱しなければならない」、「詠唱を止めてはならない」、「MPを枯渇させてはならない」、「詠唱の間に時間ロスは許されない」……。ちょっとキャストが遅れたら、ロール役であるヒーラーとして、盾役を殺してしまう。
ボス戦では盾役が死んでしまうと全滅につながり他ジョブから煽られるので、本当にもうしんどいのです(笑)。これは白魔道士はあくまで例であって、お伝えしたいのは、どのクラス/ジョブにもこういったリスクとリターンは存在しますということなのです。 だから吟遊詩人へのバラード要求や静寂ミスの責任追求が厳しくなるのは当然のことなのです。- つまり、こういうことになるかと思われる。
- しかも広報氏のフォローもまったく意味がない。以前の寝かしが効くワンダラーパレスを前提に話しているようだが、現状いわゆるワンダッシュではほぼジョブが固定で、寝かしなどしている場面はない。むしろ黒ポジションに黒以外が入ってこようものなら即抜けしてしまう人もいるだろう。1グループ目で寝かしなどしようものなら、半分罵倒気味に説教される可能性が非常に高い。
- もう一点は、ジョブ間の違いを感じるほどやりこんでいてエンドコンテンツにも挑戦しているような人は、「じゃあ俺黒やるわwww」と簡単にジョブ変更できないということも忘れてはならない。なぜなら覚えることが多いために固定メンバーでの攻略が前提となりがちであり、どうしてもLSやFCでの攻略になるためだ。結果的に好きにジョブを選べないということにもつながる。
- 現実的にバハムート攻略を考えると「盾2、ヒーラー2、黒4」などという構成では攻略できない。もしできるというのなら、以前公開したチート的な装備ではなく、現時点の標準的な装備で5層までクリアする動画を公開してもらいたいものだ。
- そもそも、あの時公開した画像で黒魔道士が装備していた盾がいったい何なのか、そろそろ明らかにして欲しいところだ。普通に見て「エンシェントバックラー」っぽいのだが現時点で未確認だ。ゲーム内で入手不可能な装備でテストプレイをしている事自体、理解に苦しむ。
近接ジョブのTP枯渇
――1点だけ基本スタンスを確認したいのですが、物理系のジョブは長時間のバトルになるとTPが枯渇しますよね。これはユーザーのTPの使いすぎであって、攻撃の手を緩めたり、TPを使わないインスタントを入れてTP消費を調整してくださいという考え方ですか?
吉田氏:いくつかの調整はしましたが、基本的にその質問に対しては「はい」とお答えします。先ほども出た「フェーズ」の切り替えで、息継ぎがありますので、そのタイミングを見て調整していくことをプレーヤースキル幅だと思っているからです。また、その消費量でダメージ計算上、バランスを取る役目も担っています。細かく踏み込めば、Procの発動率も同じ考え方になりますが、さすがにお話しするには細かすぎますね。――なるほど、TP枯渇は基本はプレーヤースキルの範疇の話で、今後も状況を見ながら微調整を加えていきますよ、という感じですか。
吉田氏:はい。今回に限らずですが、細かい調整は毎回入ります。ただ、これを言い出すと「俺のジョブは?」、「あのジョブは?」となってしまうので、本来パッチ前に細かくお伝えするべきではないと思っています。LIVEを見てくれた方はまだ良いですが、伝聞となると「弱体」というキーワードだけが一人歩きする、ということを今回身にしみて感じました。ただ、戦士はあまりに僕らのミスが大きかったので、しっかり修正しますと事前に詳細を出させていただきました。
戦士
――戦士に関して、ひとつ気になっているのは、吉田さんは、以前のLIVEで、「戦士は実は強いんだけど使いこなせていない」という発言があったじゃないですか。あの発言と今回の大幅な上方修正は整合性が取れていないような気がするんですが。
吉田氏:バハムートの有用性が違いすぎたのが発端となり、いくつかの要素が複合してしまったため、大きく変更を入れることになりました。――バハムート以外ではバランスが今でも取れていると?
吉田氏:真タイタンまでは全く問題ないと今でも思いますし、やはり印象値の方が大きいです。僕も含め開発チームでは、「大迷宮バハムート」の調整を、ナイトと戦士のコンビで、全5層を通しプレイしていました。ただ、本来もっと難易度が高いつもりで調整していました。方法をミスすると、いかにタンクであっても、ナイトであろうが、戦士であろうが、数値的に耐えられない状況を作ったつもりだったのですが、皆さんの研究によって、ナイトがそれを耐えられてしまった、しかも、同じ事が戦士にはできませんでした。その結果、パーティー全体の総DPSが、僕らが想定していたよりも出ていなくても、クリアできてしまっていたり、バフが3スタッフした時点で計算上は全滅へ向かうはずが突破できたりと、プレーヤーの皆さんの攻略が僕たちの予想を見事に超えていました。これ自体は本来とても良いことなのですが、それによってその戦術が「安定化」され、「練り込まれていく」中で、戦士のポジションがなくなってしまいました。これが僕たち開発の最大のミスです。(略)
戦士はバーサーカーらしいデザインをしたつもりなのです。自己を削って戦って、最後「原初」で300%戻す!みたいな。プレイする側から見れば、凄く気持ちいいジョブ。この細かいテクニックは、なかなかどうして、プレーヤーを選ぶよ!というような、ちょっとした優越感。限界までHPが減っても、大丈夫、まだ大丈夫……どーんと自己回復!。ところが回復側から見ると、ナイトは特定アクションで硬い、という印象プラス常時安定した防御力。でも戦士はそうではないので、どこで回復するのがベストか、よほど戦士を理解していないとわかりにくかったと思います。
結果的にタイタンまでは「ジョブ間の特徴の違い」くらいで、せいぜい「真イフリートのスタンが、ナイト野方がリキャスト時間分だけ有利」くらいだったものが、大迷宮バハムートの差が決定的すぎ、さらに先ほどのヒーラー側から見た「不安定な印象」が絡まってしまい、“戦士は弱い”になってしまいました。ですので今回、全部一気に情報を公開させていただき、大きく変わります、シンプルに言えば「強く硬くなります」とお伝えさせていただきました。周りから見ても戦士は硬くなった、強くなったと、はっきり思って貰える強さじゃないと、なかなか印象は変えられないと思いますので。
今後のパッチ
――なるほど。「2.1」のコンテンツを貯めて一気に出すやり方は、「2.2」以降でも引き継がれる感じですか?
吉田氏:2.1はハウジングとウルヴズジェイルがあるので、かなり特殊ではあります。ただ、ボリュームは1パッチごとに、必ず3ダンジョン、全く新しい蛮神、PvPアップデート、ハウジングアップデート、ストーリーアップデート、UIアップデート、ファインダーアップデートがワンセットなので、毎パッチでこれらは必ず用意されます。あとはその合間に思いついたコンテンツ、カジュアルなものを差し込む、というイメージです。ただ、今回って、軸になるものが2つ。ハウジングとPvPはそもそも基礎システムの追加で、どちらも1年がかりで計画してきたもので、本来これって拡張パックになるレベルのものなので、このレベルが毎回は入らないです。このレベルじゃないですけど、ここを抜いた以外は毎回入るものだと思ってもらっていいです。
ローンチ直後の混雑
――もういくつかお話いただいているんですが、吉田さんとしてこの3カ月間の自己評価をお伺いしたいです。ほとんど意図通りといえるのか、それとも想定外の事が多かったのか。もしそうだとすれば、それは何だったのか教えて下さい。
吉田氏:それは時期にもよりますね。開始2週間のあの大混雑は完璧に想定外でしたので。――それを吉田さんは毎回言ってるじゃないですか、しかし、私としては少し違和感があるんですよね。というのが、βフェーズの後半や、オープンβの段階で「あ、これは凄い数が来るな」という手応えは、遊んでいた人間ですらありました。ましてや中の人は全部数字を見ているわけだし、ログイン率の高さもわかっているわけだから、少なくとも予想はできていたけど、対応が物理的に間に合わなかったということじゃないかと理解しているのですが。
吉田氏:うーん、そう思われてしまっても、お返しする言葉はなく、ご迷惑をおかけしたのは事実なので、平謝りするしかないです。ただ、想定外だったのは事実です。内部の数字を見ているからこそ。――もっと少ないと見込んでいたわけですか?
吉田氏:いいえ、最終的な数字に到達するイメージは、今の実績くらいは行くかも?とは思いましたが、そこまでのグラフの推移は「もっと緩い」と思ったのです。ワールド増設がドンドン進められたのは、数字の読みから、もともと増強の計画があったからなのです。ただ、山が垂直に伸びる、という予測をしていなかったのが、本当に僕の読み違いです。――その2週間が落ち着いた後は、比較的安定しましたよね。
吉田氏:信じられないくらい沢山の決済をしましたよ(苦笑)。サーバーはハードウェアだけではなく、最終的に高く付くのは土地代です。データセンターは床面積を増やさなければサーバーを置くことができません。読み違いが発生したポイントは、βのタイミングで「旧FFXIV」を初期で辞めてしまった方の復帰率がすごく低かったところです。いくらメールを打っても、ほとんど参加していただけなかった。その方たちは、当初からお話ししていたとおり、新生の評判が出て、他のプレーヤーの方の声が出てから徐々に復帰を検討されるのかなと。その方達の数字から推測すると、山はもっと緩やかなものになる、と判断したのです。
――なるほど。それは「旧FFXIV」で、結構ラグだらけの状況下で、蛮神戦にチャレンジしてくれたような熱心なユーザー達が、ですか?
吉田氏:いいえ、もっと初期です。蛮神戦が入ったのはかなり後ですので。「旧FFXIV」を発売した直後に「FFXIV」に期待して購入し、ガッカリして辞めてしまった方々です。その方たちはβでは帰ってきてくれなかった、ということです。――へー初めて聞きました。ちょっとそこで弱気になった?
吉田氏:弱気というか、数字は嘘をつかないので、それが結果だと受け止めました。結果を見て弱気になっても仕方がないので、次の手を考えるのが仕事です。ただ、やっぱり思った以上に、当時のショックは相当大きいんだろうな、と思っていました。これは地道に運営を続けて、面白いという評判を沢山出して貰えることで、帰って来てもらうしかないんだなと思っていました。ところが、フタを開けたらスタートで相当多くの方に復帰していただけて。それでびっくりしたんです。
――なるほど。結果から逆算すると、彼らは、βには参加せずに、いきなり正式サービスからはじめたってことですか? βでの評判の良さを聞きつけて。
吉田氏:何がどう作用したのか、その点は分析しにくいところなので、βの評判だけでは無いのかなと。「流行った瞬間」だったのも大きかったのかも知れません。だから、お客様は正直なんだなと思いました。
トレジャーハント
――それは3種のギャザラーのどれでも発見できますか?
吉田氏:はい。普通にギャザリングしていると出てきます。それを鑑定すると小さい地図が見えて。グレード1からグレード3まではソロで簡単です。グレード4も基本はソロでプレイできますが、レベル50でちょっと頑張ってクリア!くらいの難易度です。トレジャーハントは、ひとりでコツコツ楽しめると思いますが、グレード5は、4人から6人くらいは必要にしてあります。――普通の一般フィールドで、レベル50パーティーが必須のボスクラスモンスターがポップするわけですか?
吉田氏:強い1体の時もあれば、複数ドバッと出ることもありますね。――へー。「ウルティマオンライン」を思い出しますね。
吉田氏:「UO」ではデーモンが出て大パニックでしたね(笑)。グレード5はオマケみたいなもので、グレード4までがメインです。グレード5は、週末にパーティー募集機能やフリーカンパニーのメンバーと「まとめてグレード5の地図回りませんか?」という感じで遊んでいただけたら嬉しいです。もちろん、未鑑定状態の地図をマーケットに売っちゃってもいいです。ただし、解読するとトレードできなくなります。解読済みの状態で持てるのは、同グレード1枚のみです。――1日に1回しか開けられない?
吉田氏:いいえ、解読できるのが1回に1枚。それを捨てるか、宝を取ってしまえば次の解読が可能です。解読済みの地図だらけにしておいて、どんどん開けていくということができないだけです。1枚宝くじを開いたら、場所が指定されているので、その場所を探して宝箱を見つける。あとはファイターかソーサラーにジョブチェンジして箱を開け、トラップモンスターを倒して中身をゲット、ということです。貰えるアイテムは、当たりもあれば、ハズレもある、という感じですね。――お宝はどういったものが用意されているのですか?
吉田氏:エーテリアル装備が出たりもしますし、ギルと経験値稼ぎにも使えます。経験値も産出されるし、カンストしているクラスやジョブだったら、アラガントームストーン神話と哲学も出ます。あとは「哲学」で交換する素材もそうだし、あと結構レアなクラフト素材のHQが出たりとか、ハウジングパーツの素材が出たり、結構色んな物が出ますね。――レアドロップもありますか?
吉田氏:はい。それも1個じゃなくて、5~6個まとめてドバッと手に入ります。――地図を持った状態でそこにいけば、ミッションバトル用のサークルみたいものが表示されているようなイメージですか?
吉田氏:いえ。「探す」というアクションを実行すれば、それが地図の示す場所だった場合、宝箱が発見できます。とてもシンプルにしてあります。宝箱を無理矢理開けたらモンスターが出たので、そのモンスターを倒せば中身が入手できます、というシンプルさ。たまたまギャザラーやっていたら地図が貯まったから、明日は久々にバトルクラスで1枚ずつ開けていこうかなとか、それぞれのプレイスタイルの狭間に、選択できるものという位置づけです。――レベル50の人がやれば、ランクにかかわらずトークンがもらえる?
吉田氏:地図のグレードが一定以上じゃないと出ないです。あとはもう確率ですので、ぼろっと出たって時もあれば、全然出ないという時もあります。効率よく稼ぎたい人が、毎回のリワードを計算してプレイするような遊びではないです。効率よくいくなら、ハイレベルダンジョンや、シリウス大灯台に行った方が確実に計算が成り立ちます。
蛮族デイリークエスト
――いま蛮族の本拠地に行くと、当然蛮族に攻撃されますけど、「エバークエスト」では友好度を高めると攻撃されなくなりましたが、ああいうシステムはありますか?
吉田氏:基本的にはないです。「EQ」をやっていたのであればわかると思いますが、それをやっちゃうと今度は友好度のシーソーが必要になります。片方を上げると片方を下がる。しかし、エオルゼアの世界で人と対立するような役は「テンパード」という存在が明確にあるので、今回は八方美人ができるようにしました。その分テンパードになってしまっている蛮族からは、その蛮族との友好度に関わらず、問答無用で普通に襲われます。――そうか、本拠地にいるのは全員テンパードなんですね。
吉田氏:そうなのです。そこはうまく棲み分けていますね。(略)
――なるほど、それなら私みたいなギルドリーヴファンは、そのままスライドして楽しめそうですね。
吉田氏:そうですね。そっちに注目していただけると嬉しいです。レベル42ぐらいまではギルドリーヴで、その後は蛮族デイリークエストで、という流れで。チケット制と違って、1日に複数のクエストから、好きな物を選んで最大6つこなす。リワードは確実に増えているから、とても計算しやすいコンテンツだと思います。
チョコボ育成
――話は変わりますが、先ほどのお話だと、吉田さんは長時間コツコツしんどいのはコンテンツとしてダメだということでしたが、それでいったら「チョコボ育成」って、今めちゃめちゃしんどいじゃないですか。ランク10まで育てるのは、いつまで掛かるんだろうというような味付けだと思うのですが、これはどういう意図なのですか?
吉田氏:現状はちょっとキツすぎるなと思いますが、もともと最終的にハウジングのアップデートで機能の拡張を予定しています。チョコボ厩舎、雛から育てるものと合流させようと。――なるほど、今はまだ仮というか暫定的な仕様という感じですか。
吉田氏:にしても、キツめではありますね。――厩舎のチョコボ育成って、今やっているチョコボ育成とはまったく別物なのですか?
吉田氏:雛から育てるものを予定しているので、今のとはちょっと違います。――つまり、厩舎では2匹目のチョコボが持てて、さらに育てられると思ってもいいのですか?
吉田氏:はい。ただ2匹目は育ちきったチョコボからじゃなくて、雛から育ててくださいという感じです。――チョコボを雛から育てれば2匹どころか、3匹、4匹持てるようになると?
吉田氏:セーブ領域を食い過ぎるとデータベースへの書き込みがしんどくなるので、あまり増やさないと思います。――とりあえず現在の1匹と、雛から育てる1匹の2匹で、今回どれに乗りますか? どっちを育てますかとか。
吉田氏:そんな感じを想定しています。――1匹目はヒーラーにしたので、2匹目はファイターにしようとか。
吉田氏:ああ、それは可能にしようと思っています。――チョコボ育成のポイント振り直しを希望する声が出ていますが、振り直しは可能になりますか?
吉田氏:そんなに拒絶するつもりはないので、何かの報酬で入れましょうという話になっています。
- 全体的に中村記者相変わらずツッコミが厳しい。ということで後編に続く。
- なおインタビュー記事は非常に長く、具体的なところまで踏み込んだ内容となっているので、ぜひ元記事を読むことをおすすめします。
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